あの年、別れ話の際に貴方は言ったね。
「夏休みに会いに行くから」って。
夏休みまでの三ヶ月間、夏休みが終わるまでの四ヶ月と半月私は待っていた。
もしかしたら会いに来てくれるかもしれないって。

今年の夏、8月の日差しの中で23年ぶりに貴方のその言葉を思い出したんだ。
気が狂うんじゃないかっていうくらいの暑い日の午後にね。
あの頃10代だった私ももう40代。
そんなことを思い出しても報われないことはわかっている。

あの別れから数年後。
貴方が職場で昇格をしたこと、結婚をしたと言う噂を聞いた。

1994年初頭。
貴方と付き合い始めたばかりの時に
私に「結婚しようね」って度々言ってたね。
私はバカだけど変なところで真面目な性分なんだろうね。
自分達の立場を考えたらすぐに「はい」なんて言えなかった。
ちゃんとお付き合いして、きちんと周囲の皆さんに認めて貰って・・・
それで貴方と一緒に暮らせたらどんなに幸せだろうかと考えていた。

でもね。
貴方にとっては私は「親戚の子」でしかなかった。
私と居る時に同級生と出くわした貴方はその方に
「親戚の子」って紹介をしていたの。
その時に私が知らないうちに貴方にはもっともっと大切な女性が居るんだなってわかってしまったの。

あの後、貴方は私を誰もいない場所に連れて行って唇を重ねようとしたね。
とっさに拒んだ私に「何故?」って言ったね。
私は大好きだけど、親戚の子にキスするなんておかしいって思ったの。
貴方は後ろ指を指されながら私との交際するなんて望んでなかったんだって。

貴方は電話で別れ話をしてきたね。
それがせめてもの優しさと思うことにすることでしか、私にはそれを受け入れることが出来なかった。


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