拝啓、誠様
今年も貴方と交際が始まった日付を通り越しました。
27年前のあの日、約8年越しに貴方と再会をして交際をしてからの数ヶ月間は今のところ私の人生で一番の幸せな時間のままです。

再会から数日後の深夜。
貴方からの秘密のデートのお誘いの電話。
「今度の土曜日の夜、二人で会わない?今度は男と女として会いたい。」と。
アルバイトを終えて、夜7時。
待ち合わせ場所の駅に行きました。
その日は、成人式の日で晴れ着やスーツを着た新成人さん達が沢山いました。
貴方は「来年は俺達の番か…。一緒に居られるだろうか?」と言っていました。
お互いに未熟ながらも心のどこかでわかっていたのだと感じました。
「マワリノ オトナタチニ ハンタイヲサレテシマウダロウ…」
と。
「一年先に一緒にいられなくても、せめてこの日だけはただ一緒にいたい。」
それだけでした。
レストランで食事を済ませてから、街を歩き泊まる場所を探しました。
駅から少し離れた小さなシティホテル。
貴方と一緒の部屋に居られるだけで幸せでした。
眠くなるまで取り留めのないお喋りをしていただけだったのに、この上なく幸せな時間でした。
貴方は、私との約束を守ってくれました。
名前の通り誠実な方だと思い、もっと好きになりました。
時計の秒針が進むことを久しぶりに物悲しく感じた夜でした。

2月12日。
中距離恋愛が遠距離恋愛に変わる日。
私は貴方に「浮気をしても、他の人を好きになっても構わない。」と告げました。
私との電話、デート中に貴方のやるせない思いが伝わって来ていたから。
私が貴方を想う事は一向に構わなかったけれど、貴方が辛そうなのには耐えられませんでした。
それが、あの頃の私が出来得る精一杯の愛情表現でした。
そんな日が来たら自分はきっと泣いてしまうという事は容易く想像は出来ていました。
でも、貴方に少しでも楽になって欲しいと思ってたのもまた本心でした。
だから、私は一番幸せだと感じたその日を選んでその言葉を伝える事にしました。

その後、貴方とは二ヶ月くらい遠距離恋愛をしていました。
一度だけ私は貴方に会いに行きました。
貴方は私を色々な場所に案内をしてくれました。
「こんな場所で良いの?こんな場所で嬉しそうにしている女の子、初めて見た。」って呆れていました。
私は、14年も片思いをしていた貴方が連れていってくれる場所ならばどこでも良かったのです。
貴方が隣に居てくれて、談笑をしながら過ごせる時間は一生分の幸せに感じました。

貴方がこのサイトを見て下さるかはわかりませんが、触れさせて頂きます。
あの日、私はたった一つだけ貴方に行きたい場所をリクエストをしました。
「海が見える某公園」と。
あの場所は小学五年生の時の私が初めて両親に連れて行って貰って、「映画の天国にいちばん近い島みたいな場所。」と思った場所でした。
その時、真っ先に貴方の顔が脳裏をかすめたのです。
私にとって貴方はずっと「天国に一番近い島」のような存在です。
あの日、貴方は某公園に連れて行ってくれようとしましたが時間が足りず間に合わなかったのですよね。
途中まででも連れて行ってくれようとしてくれた事が、私にとって何にも変え難いプレゼントになりました。
もう、別れと言う選択肢しか無かったのに貴方は私に「今度来た時には絶対に連れて行ってあげるから。」と言ってくれました。
その約束が嘘でも私には嬉しかったんです。
きっともう、この滞在期間が終わったら貴方と私が約束をすることなんてないだろうって予感していたから。
あの公園はあの日から10年後に閉鎖してしまいました。
貴方との約束はもう叶わないと思う反面、約束が永遠に存在をしてゆくような気持ちにすらなりました。

もし、我が儘を言えるならば貴方に「別れたくない。」って言いたかったです。
たまたまテーマパークで会った貴方の元同級生の方に、貴方は私を「親戚の子」って紹介をししていました。
出来るならば「彼女」って言って欲しかったです。
貴方との別れ話の際に、私に好きな人が出来たお話しは全て嘘でした。そうでも言わなきゃ貴方から離れて行けないくらい貴方の事が大好きでした。
嘘を吐いて、いつしかその嘘が本当になれば良いのにって思っていました。
そんなこと私には無理でした。

貴方と付き合えた日から27年が経とうとしています。
冬になるといつも思い出します。
今、貴方がどこで何をしているのか?私には知る術もありません。
誠君、どうかお身体を大切になさってください。
私はいつも心の片隅で貴方が幸せである事を祈っております。


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